従業員と自社のために。ヘアメイクさんを採用するときの考慮点と注意点とは?

採用活動を成功冴えるためには、適切な求人方法と選考プロセスの明確化が欠かせません。特に、ヘアメイクの現場はチームワークが大切ですので、新入社員はもちろん、既存の社員に対しても考慮すべきポイントを抑えておきましょう

この記事では、ヘアメイクアップアーティストを採用する際の流れや注意点、具体的な面接の方法について詳しく解説します。

企業の魅力を伝える方法や採用後に必要な対応についても触れていますので、ぜひ採用活動を効率的に進めるための参考にしてください。

ヘアメイクアップアーティストを採用するときにすべきこととは?

採用活動は、求人募集を開始・選考中・採用決定後も企業としておこなうべきことがあるため、「採用する人材を決定したら終わり」というわけではありません。

企業は、新しく入る従業員はもちろん、すでにいる従業員のためにもそれぞれの環境を整え、業務がスムーズに進行するようにサポートする必要があります。新しくヘアメイクアップアーティスト(以下、ヘアメイクさんという)を採用するときも、企業全体の生産性を向上させるために、以下の項目を確認しておきましょう。

会社のためにすること

採用活動は、企業の業務遂行や事業拡大を支える重要なプロセスです。
適切な人材を確保することで、企業の成長を促進し、目標達成に向けた基盤を固めることにつながります。ヘアメイクさんの採用においても、ただの人員補充ではなく、企業の将来を見据えて計画的に進めましょう

どんなヘアメイクさんを求めているのかを明確にする

新しい人材に求める内容を明確化することは、採用活動のベースとなります。
具体的な職務内容や責任範囲を社内で共有し、一貫した基準を設けて、ブレのない選考を目指しましょう

特にヘアメイクさんを採用したい場合、企業として求めるジャンル・資格・スキル・経験年数などを応募条件として明確に設定することが大切です。応募者の能力を適切に評価し、企業が求める人材を確実に採用するための指標となりますので、慎重に決定しましょう。

採用計画や質問リストの作成

採用活動全体の効率を高めるために、採用計画を立てましょう。
この計画には、求人媒体への申し込みや周知することから、選考段階、採用決定までのステップを含めます。具体的なタイムラインや各ステップの担当者、選考ごとに確認しておきたいことを明確にすることにより、スムーズな進行が可能となります。特に、応募者の人柄を知るための質問やヘアメイクの技術に関することは、しっかりと確認できるようにリストを作成するのがおすすめです。

応募条件の設定と明示

応募条件の設定は、企業が求める採用活動をおこなううえで欠かせません。
そして、採用活動の初期段階で、応募者に対し、任せたい職務内容や責任範囲を明示することは非常に大切です。これは、企業にとって適切な人材を選定するために欠かせないステップであることはもちろん、応募者にとっても自身の適性を判断するためのポイントとなるでしょう。
また、できるだけ具体的に示すことは、選考基準を明確にすることにもなり、入社後のミスマッチやトラブルを防ぎます

ヘアメイクの仕事は現場によりクライアントやジャンル、求められるものが異なりますので、認識のズレが生じないように心がけましょう。

採用計画の立て方(図で流れを解説)

採用計画は、ヘアメイクさんを採用したい時期や、実際に稼働して欲しい時期から逆算してスケジュールを組むのが理想的です。時間と心に余裕を持って選考がおこなえるように、念入りに準備しましょう。

【一般的な採用活動の流れ】

  1. 求める人材像の明確化
  2. 企業が求人媒体の求人申込書に記入(募集要項の作成)
  3. 求人申込書を求人媒体へ提出
  4. 求職者を募集、選考
  5. 採用・不採用の決定と通知

以下の記事では、ヘアメイクさんを採用するまでの流れや、採用計画の重要性について解説しています。

トライアル採用の活用

トライアル採用とは、企業が採用候補者を短期間試用し、実際の業務での適性や能力を確認する制度です。
通常、1~3か月間の期間でおこなわれ、企業は候補者が自社に適合するかどうかを評価し、候補者も職場環境や業務内容を体験します。トライアル期間が終了した後、正式採用を判断することが可能です。これにより、双方のミスマッチやトラブルを防ぎます。
また、トライアル採用は、研修期間や試用期間とは異なるので注意しましょう。

研修期間は、採用決定した新入社員が業務や企業文化に慣れるための期間であり、試用期間は採用が決まった後に適性を再確認する期間です。そのため、トライアル期間後に正式に雇用契約を結ぶかどうかを決定します。

クライアントと直接やりとりしたり、自社のメンバーと協力して現場の仕事をこなしていくヘアメイクさんは特に、多方面との相性を見極めることが重要です。トライアル採用が可能であれば、双方にとって認識のズレをなくすひとつの方法となるかもしれません。
以下の記事では、トライアル採用についてより詳しく解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。

内定者研修・講習会・定期面談など

新しく採用する社員には、社内のルールや仕事のやり方を共有します。
ただし、やみくもに業務をこなすようなことにならないように注意しましょう。そのためには、内定者研修・講習会・定期面談で会社のビジョンを共有したり、社員やチームごとの目標を設定すると、新入社員が業務にスムーズに適応するための手助けとなるのでおすすめです。

特にヘアメイクは、現場によって業務内容やチームメンバーの変更が想定されます。
現場ごとに丁寧なフィードバックをおこなったり、他愛もない会話や食事をともにするなどして、コミュニケーションをとってよい雰囲気づくりをしてみましょう

会社で揃える必要な書類

新入社員を迎えるにあたって、雇用契約書や労働条件通知書などの必要書類を整えておくことが大切です。
これにより、入社手続きが円滑に進み、労使間で労働条件を明確に示すことが可能となります。漏れがないよう、必要書類のリストを作成し、それぞれの役割を一覧表にしておくと便利です。

【会社で揃える必要な書類】

採用通知書(内定通知書)・内定決定の通知書
雇用契約書・雇用条件の正式契約書
労働条件通知書・労働条件の詳細記載
誓約書・契約内容の遵守誓約書
扶養控除等申告書・年末調整を受けるために必要な書類
・還付金、次年度の所得税や住民税に影響する
健康保険被扶養者異動届もしくは国民年金第3号被保険者届・配偶者の年金加入申請書

参考:日本年金機構「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき

【新入社員に提出してもらうもの】

身分証明書・身元確認用書類
マイナンバー・身元確認性書類
・税や社会保険手続きに使用
給与振込口座・給与の振込に使用
美容師免許の写し・資格証明用書類
その他資格証明書の写し・資格証明用書類

すでに在籍している社員に対してすべきこと

新しい人材を迎え入れるときは、すでに在籍している社員への配慮も重要です。
これにより、職場の人間関係が円滑に保たれ、業務のスムーズな進行につながります。

事前告知や内部調整

新しい社員が入社する際には、事前告知や内部調整をおこないます。
すでに在籍している社員に業務の再配分や新しい役割を説明し、チームの連携を確保できるように努めましょう。また、可能であれば、採用活動前に現場の声を確認し、求める人材像を共有することも効果的です。

社則の変更などが発生する場合は通達する

福利厚生・社則・社内ルールなどは、働くうえで大切な事項です。
新入社員の入社に伴い、社則や福利厚生の変更がある場合は、迅速に既存社員に通知し、周知を徹底しましょう。特に、社会保険の適用範囲に影響する変更については、速やかに対応が必要です。

社会保険について

社会保障とは、国や自治体が国民の生活の安定を図るために提供する公的な制度やサービスの総称です。この制度は、社会保険・社会福祉・公的扶助・保健医療・公衆衛生などのリスクに対応し、経済的な支援や保護をおこなうものです。

そのうちの社会保険は、勤務先である企業で加入するものとなりますが、加入できるかどうかは、企業の従業員人数や、従業員の雇用期間・労働時間・週の所定労働時間などで決まります。ただし、採用するヘアメイクさんの雇用が業務委託やフリーランスの場合は異なります。

まず、企業における従業員規模は、チェック1のように2024年にも改正が予定されているので注意しましょう。そのうえで、チェック2の以下のすべてにチェックが入った場合に社会保険への加入対象となります。

チェック1〈従業員規模〉
チェック2〈適用要件〉

※ただし、残業代と賞与は含まない

参考:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイトPDF)」

これから入ってくる従業員のためにすべきこと

新しいヘアメイクさんを採用するときは、募集時・選考時・入社後の各段階で細かな配慮を心がけましょう。

募集時

ヘアメイクさんを募集するときは、求める人材や応募方法を明確に示します。

どのようなヘアメイクの技術力や経験などを求めているのかはもちろん、求人への応募手続き・締切・書類の提出方法・選考プロセスなどの詳細を明示して、応募者が安心して手続きできる環境を整えましょう。特に、選考ステップや面接の回数、選考全体にかかる期間についても明確に伝えることで、応募者に対して公平でわかりやすい採用活動になります

自社に関する資料で意識すべきこと

自社を知ってもらうための資料は、応募者にとって重要な情報源です。
資料には、自社の理念・事業内容・基本給・福利厚生など、重要な情報を記載します。スライド・印刷物・URL・PDFなど、紹介方法に応じた形式で提供し、応募者に興味を持ってもらえるように工夫することが大切です。また、資料は形式にかかわらず、以下のポイントを押さえて作成しましょう

【会社紹介資料に書いておくこと一例】

  • 会社理念
  • 事業内容や仕事内容
  • 求める人物像
  • 基本給と福利厚生、 給与に反映すべき諸手当など
  • 選考の流れ
  • 採用後の研修制度やキャリアアップにつながる制度
  • 社会への貢献意識

選考時

選考時には、自社と応募者にマッチした選考方法を採用することが大切です。
企業は、求める人材像を明確にしつつ、社風や職場の雰囲気、多様性などをしっかりと伝えます。それと同時に、応募者が自社に適合するかを見極めましょう。選考プロセスを通じて、企業の魅力や特徴を的確に伝えることで、応募者にとっても企業にとっても納得のいく採用選考を目指してください。

選考の流れについては以下の記事で詳しく解説しています。

入社後

先述したとおり、採用活動は入社を決定して終わるのではなく、必要な情報を共有したり、働きやすい環境を整えることが大切です。新入社員のモチベーションを高めることで、業務の質の向上や効率化を目指しましょう。

給与と福利厚生の明示

入社後には、新入社員に対して給与や福利厚生、勤務条件を明確に伝えることが必要です。
これにより、新入社員が安心して働ける環境を整えるだけでなく、既存社員との一貫性も保てます。そして、これらの情報は、全社員がいつでも確認できるように書面で渡したり、共有フォルダに保管しておきましょう。

【全社員がいつでも確認できるようにしておくこと】

  • 給与体系、昇給制度、福利厚生内容
  • 勤務条件の詳細
  • 勤務地、勤務時間、休日・休暇制度
あらためて自社の魅力を伝えよう

新入社員が企業文化や成長機会を理解し、安心して業務に取り組めるように、入社後に改めて自社の魅力を伝えるのもおすすめです。

特に、入社後の研修やOJT、フォロー体制の充実は、新入社員が業務に適応し、効率的に成長できる環境づくりになります。これにより、従業員全体のモチベーションが向上し、企業の成長にもつながるでしょう。

人材育成とは?「人材開発」や「人材育成」とはどう違う?

人材育成とは、企業が従業員に必要なスキルや能力を習得してもらうためのサポートをおこなうことです。
単に業務を教えるだけでなく、個々の成長を促し、企業の目標達成に貢献できるように導く取り組みを目指すことが大切です。

一方で、「人材開発」は、従業員の長期的なキャリア形成やスキル向上を目的とし、未来の成長を見据えたサポートをおこないます。どちらも企業発展に欠かせない活動といえるでしょう。

新卒者向けに内定者研修をおこなう

新卒者には内定者研修をおこない、内定者が会社や業務にスムーズに適応できる準備をするのがおすすめです。
内定者研修は、企業の文化や価値観を理解してもらい、稼働する前に業務に必要なスキルを覚えてもらう機会となります。この取り組みをすることで、内定者のモチベーションが高まったり、内定辞退や早期離職の防止にもつながります。また、研修を通じて、内定者が企業やメンバーに対して信頼感を持ち、迅速に職場に溶け込むことも期待できるでしょう。

以下の記事では、働きやすい環境づくりについて紹介しています。
→働きやすい環境づくりの記事は現在準備中です

個人の尊厳と自由を尊重すること

企業は、社員の個人の尊厳と自由を尊重し、働きやすい環境を整える責任があります
これは、日本国憲法第13条で定められている「すべて国民は、個人として尊重される」権利と、第19条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という規定に基づいたものです。

社員個々人が尊重された職場環境は、社員の創造性や意欲を引き出し、企業全体の生産性向上に寄与します。よりよい環境づくりを心がけ、企業の持続的成長を目指しましょう。

以下の記事では、公正な採用選考をするうえで配慮すべきことについて解説しています。

人材育成は中長期的におこなおう

人材の採用は、募集から入社後の研修など、長期的に時間とお金がかかります。
特に新卒採用では、採用から研修を経て、業務に貢献できる状態になるまでに時間とコストがかかるものです。企業にとって大きな出費や手間がかかるように思えても、適切な人材育成がおこなわれれば、大きなリターンをもたらす先行投資となるでしょう。

そのため、採用活動をおこなうときには、長期的な視点を持ち、社員の成長をサポートするための計画をしっかりと立てることが重要です。

以下の記事では、ヘアメイクさんを雇う際に必要な費用について解説しています。
→現在準備中です

活躍してくれるヘアメイクさんを採用するためには

雇い主として、ヘアメイクさんに求めることは「自身の技術とセンスを持って活躍してくれること」です。優秀なヘアメイクさんと出会うために、ここからご紹介する3つのポイントと7つの記事を参考にしてみてください。

求人媒体にこだわる

この記事でご説明したとおり、ヘアメイクさんを雇いたい場合、求人媒体の選定は重要です。「どんなヘアメイクさんを求めているか」に応じて、適切な求人媒体を選びましょう。

求人のタイミングはいつ?

採用活動には時間がかかります。
求人媒体の選定、面接、入社手続きに加え、戦力として稼働してもらうために研修が必要な場合も想定しておきましょう。

採用の流れ

採用活動をスムーズに進めるためには、事前に採用の流れを把握しておくことが重要です。トラブルを防ぐためにも役立ちます。

【採用までの流れ一例】

求人媒体を探す

募集をかける

書類審査をする

面接をする

採用通知を出す

入社の手続き

求人を出すときに企業が考慮すること

この記事でもご紹介したとおり、ヘアメイクさんを雇用したいときには、以下の3つの注意点を考慮することが重要です。
採用活動や雇用関係を結ぶ前に確認しておきましょう。

自社のために:「どんな人材がほしいのか」を明確にする

まずは企業にとってほしい人材像を明確にしましょう。
例えば、正社員か業務委託か、未経験可か経験重視かを決めるなど、自社が求める人材を明確にすることで、書類審査や面接の選考がしやすくなります。ブレることなくきちんと求める人材を採用することで、現場の仕事がスムーズに進行できるでしょう。

以下の記事では、優秀なヘアメイクを確保するために、採用活動でどのような点に気をつければよいのか、採用のポイントと注意点を解説しています。

従業員のために:勤務条件を明示する

勤務条件は、労働者が就業先を決定する際に非常に重要です。
基本的な給与・勤務地・仕事内容などの条件を明確にし、求人募集時に明記することで、労使で共通の認識を持つことができ、入社後のトラブルや不満を防ぐことにつながるでしょう。

以下の記事では、従業員と自社のために、ヘアメイクさんを採用するときの考慮点や注意点を解説しています。

従業員と自社のために:採用にかかる時間と、採用後の収入(費用)を明示する

新しい人材の採用には費用と時間がかかります。
採用活動前に、企業にかかる負担や支出を明確にし、経営に支障が出ないようにしましょう。例えば、従業員にとっての収入となる「従業員に支払う給与」と、会社が負担する「見えない費用」を明確にしておく必要があります。

以下の記事では、求人から採用までヘアメイクを採用するときの費用を徹底解説しています。
→求人から採用までヘアメイクを採用するときの費用を徹底解説!の記事は現在準備中です。

従業員と自社のために:受け入れ体制、働きやすい環境を整える

昨今、会社組織における福利厚生や技術手当、研修やハラスメント対策の体制を整え、充実させることが、一昔前に比べてより強く求められるようになってきました

従業員にとって働きやすい環境を整え、せっかく採用した人材が離れないようにすることが大切です。現場の仕事が円滑に進むように、労働環境づくりに取り組みましょう。

以下の記事では、従業員からもクライアントからも“選ばれる”ためのポイントを解説しています。
→従業員からもクライアントからも“選ばれる”就業先になるためにの記事は現在準備中です

企業と全従業員にとってよりよい採用活動を目指して

ヘアメイクアップアーティストの採用は、企業と従業員の双方にとって重要なプロセスです。
採用前・選考中・採用後の各段階で配慮を怠らず、フォロー体制を整えることで、優秀な人材をスムーズに採用し、良好な関係を築くことにつながるでしょう。また、社会保険の適用範囲など、法律や規則を遵守することも忘れてはいけません。

既存社員と新入社員がともに働きやすい環境を目指し、企業の成長につなげましょう。